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最高裁判所第二小法廷 昭和33年(オ)719号 判決 1961年7月21日

主文

本件上告を棄却する。

上告費用は上告人の負担とする。

理由

上告代理人平原謙吉の上告理由について。

原判決の認定によれば、右増築部分は、賃借建物の構造を変更せずしてこれに附属せしめられた一日で撤去できる程度の仮建築であつて、賃借建物の利用を増加こそすれその効用を害するものではなく、しかも、本件家屋は、被上告人が昭和三年頃これを賃借した当時既に相当の年月を経た古家であつて、被上告人において自ら自己の費用で理髪店向その他居住に好都合なように適宜改造して使用すべく、家主においては修理をしない約定で借受け、その当時所要の修理をして使用を始めたような経緯もあり、上告人は昭和二四年四月頃前記増築がなされていることを発見したけれども、当時においては特に抗議もしなかつた、というのであるから、被上告人の所論の増築行為をもつて上告人に対する背信行為に当らず、また原判決説示の理由で被上告人が右増築部分の敷地につき占有権原があるとした原判決の判断は相当である。そうすると原判決に所論の違法がなく、論旨はすべて採用できない。

よつて、民訴四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 藤田八郎 裁判官 池田克 裁判官 河村大助 裁判官 奥野健一 裁判官 山田作之助)

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